ウェルカムボードに込められた、母の想い
私の母は、ちょっと変わったタイプの人で、油絵だけが生き甲斐のような人。
家に行くと、たまに自慢の油絵作品を見せてくれました。
私が結婚することになり、結婚式費用を少しでも抑えられないかと悩んでいた折、母がウェルカムボードを油絵で作ってくれるという話になりました。
もちろん母の作品が私はとても好きだったのですぐにお願いしました。
しかしひとつ疑問だったのは、ずっと母は結婚に反対していたのに、なぜ急に積極的に私の結婚を祝おうとしてくれるのかということ。
頼んだのはいいものの、正直に言うととても不安でした。
私の夫は自営業。
結婚してから私は夫と、義父母と共に生活を始める予定でした。
それが母の一番の、結婚に反対する理由だったのです。
母は私に、もっと楽ができる相手を選べとずっと言い続けていました。
しかし私には私の人生があると、母にずっと反抗し続け、反対を押し切るようにして無理やり結婚に持ち込んだのです。
だから母の祝おうとする気持ちが正直にいうと疑問でした。
しかし当日、結婚式に行って、その疑問は解決しました。
母はこれから私たち夫婦が住む義父母の家、そしてたくさんの花を油絵で描き、ウェルカムボードにしてくれていたのです。
母は私の知らないところで、私の結婚や、私の人生をしっかり受け止めてくれていたのです。
また娘が出先で苦労しないよう、義父母とうまくやっていけるよう、新しい家族への気遣いや愛情を作品に込めてくれていました。
今でも見ると少しセンチメンタルになってしまいます。
このウェルカムボードはもちろん、夫も義父母もとても喜んでくれました。
今も我が家の玄関口に飾られています。